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(2)Erasmus橋
ロッテルダムでは、ユーロポートの建設整備と共に、マース川の南岸のウォーターフロントの開発が進行中である。1987年の春に構想が発表されたKop van Zuidと呼ばれる未来都市計画で、5,300戸の新設住宅、400,000m2のオフィススペース、35,000m2の商工業用地、600,000m2のレクリエーション施設を含む総面積125haに及ぶものである。
現在の市の中心部と Kop van Zuid地区を結ぶために架けられたのが、15世紀に当地で生まれた著名な人文学者の名前が付けられたエラスムス橋である。この橋は、全長802m、総幅員33m、主径間は支間284mの斜張橋で、2面16段のマルチケーブルと逆Y型の折れ曲がった塔からなる非対称構造の白鳥を模したユニークな形状は、建築家Ben Van Berkelのデザインによるもので、新しいロッテルダムのシンボルとなっている。主航路部は支間55mの跳開橋で重量1,560t、この種の形式としては世界最大規模であり、我々が訪れた前の週に王室を迎えて完成記念のテープカットが行われた。

 

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主塔とバックスパンの桁は、ヴリシンゲン(Vlissingen)にあるHeerema社のヤードで組み立て、世界最大級の海洋クレーン船を用いて塔の立て起こしを行い、一体化してバージに搭載し、現地まで曳航・架設された。案内をしてくれたHeeremac社のMr.WELLINKによると、石油開発のために開発された海洋技術が、橋の施工にも活用された事例で、従来とは異なった工法を用いたことにより、最低2年はかかる主塔の現地工事をわずか1日で済ますことができたということである。また、主径間の桁の張り出し架設にも、フローティングクレーン船が用いられた。

 

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